損益分岐点は、固定費を限界利益で割って求めます。限界利益とは、販売単価から1個あたりの変動費を差し引いた金額です。計算結果が、その期間の赤字をなくすために必要な販売数量になります。さらに粗利率から、損益分岐ROAS(1 ÷ 粗利率)と、1件の注文獲得にかけられる費用の上限を求められます。
4つの数値から、4つの指標を算出します。費用を回収するための販売数量、その売上高、損益分岐ROAS、そして注文1件の獲得にかけられる費用の上限です。
計算できること
損益分岐点の販売数量・売上高・超えるべきROASがわかる
損益分岐点とは、収入で支出をまかなえるラインです。計算に必要な情報は、自社の費用を確認すればすべて揃います。
計算結果:
- 損益分岐点の販売数量。 固定費を1個あたりの限界利益で割り、小数点以下を切り上げた数量です。
- その数量を販売したときの売上高。 販売数量に販売単価を掛けた金額です。売上目標と同じ通貨で表示されます。
- 損益分岐ROASと注文獲得費用の上限。 キャンペーンのROASが超えるべき下限と、CPAが下回るべき上限です。
損益分岐点に達しても、利益が出るわけではありません。計算結果でまかなえるのは入力した費用だけです。実際の事業では、税金・返品・返金・チャージバック・プラットフォーム手数料などもかかります。
商品ごとに利益率が異なる場合、商品全体の損益分岐点は加重平均の利益率で決まります。各商品を個別に計算してください。
使い方
損益分岐点を3ステップで計算
固定費を入力
販売数が1個でも1,000個でも発生する費用を合計します。家賃・給与・ソフトウェア代・月額契約料などが該当します。対象期間は統一し、通常は1か月分を入力します。
販売単価と変動費を入力
販売単価は、お客様が商品1個に支払う金額です。変動費は、その1個を届けるためにかかる商品原価・送料・梱包費・決済手数料です。入力すると、必要な販売数量が表示されます。
粗利率を入力
販売単価から変動費を差し引いた残りの割合を入力します。販売単価が$50、変動費が$20なら60%です。損益分岐ROASと注文獲得費用の上限が、追加の2つのカードに表示されます。
すべての入力欄で、通貨と対象期間を統一してください。月額の家賃と年間ライセンス料を一緒に入力すると、ライセンス料を12倍に計上してしまいます。それでも、計算結果は一見もっともらしく見えてしまいます。
計算式
損益分岐点の販売数量 = 固定費 ÷ 限界利益
損益分岐点の販売数量は、固定費を1個あたりの限界利益で割って求めます。1個あたりの限界利益は、販売単価から1個あたりの変動費を引いた金額です。その販売数量に販売単価を掛けると、損益分岐点売上高になります。
よくある間違いは、変動費を固定費の欄に入れてしまうことです。送料・決済手数料・商品原価は販売数量に応じて増えるため、変動費に含めます。
計算例
販売単価$50・固定費$12,000なら、400個で損益分岐点に到達
1商品だけを扱うストアで、販売単価は$50とします。1個あたりの仕入れ・ピッキング・発送に$20かかるため、1個売るごとの限界利益は$30です。家賃・給与・ソフトウェア代は月額で合計$12,000です。
$12,000 ÷ $30 = 400個で、月の売上高は$20,000になります。それを超えると、1個売るごとに粗利益が$30増えます。
販売単価$50に対して粗利益は$30なので、粗利率は60%です。損益分岐ROASは1.67×、注文1件の獲得にかけられる費用の上限は$30.00になります。
計算例の入力値と結果
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 1か月の固定費 | $12,000 |
| 販売単価 | $50.00 |
| 1個あたりの変動費 | $20.00 |
| 1個あたりの限界利益 | $30.00 |
| 損益分岐点の販売数量 | 400 |
| その時点の売上高 | $20,000 |
| 粗利率 | 60% |
| 損益分岐ROAS | 1.67× |
| 注文1件の獲得費用の上限 | $30.00 |
粗利率とROAS
1 ÷ 粗利率が、超えるべきROASの基準
損益分岐ROASは、1を粗利率で割った値です。粗利率40%なら、広告費$1に対して$2.50の売上が必要なので、損益分岐ROASは2.5×です。この時点では広告費を回収できただけで、それ以上の利益はありません。
つまり、ROASの良し悪しは数字だけでは判断できません。粗利率70%なら1.43×、20%なら5×が損益分岐点です。実際のROASを、自社の損益分岐ROASと比較してください。
同じ粗利率から、注文獲得費用の上限も決まります。計算式は、販売単価 × 粗利率です。$50の売上で粗利率40%なら上限は$20.00なので、CPAが$21ならすでに赤字です。
販売単価$50の場合の粗利率別・損益分岐ROAS
| 粗利率 | 損益分岐ROAS | 注文獲得費用の上限 |
|---|---|---|
| 20% | 5× | $10.00 |
| 30% | 3.33× | $15.00 |
| 40% | 2.5× | $20.00 |
| 50% | 2× | $25.00 |
| 60% | 1.67× | $30.00 |
| 70% | 1.43× | $35.00 |
| 80% | 1.25× | $40.00 |
値引きの影響
20%値引きすると、必要な販売数量は50%増える
$50の商品を20%値引きすると、販売単価は$40になります。変動費$20は変わらないため、限界利益は$30から$20に減ります。減少幅は5分の1ではなく、3分の1です。損益分岐点の販売数量は400個から600個に増えます。
広告の指標も変わります。粗利率は60%から50%に下がり、損益分岐ROASは1.67×から2×に上昇。注文獲得費用の上限は$30.00から$20.00に下がります。販促が終わってからではなく、始める前に計算し直してください。
利用制限
無料版の利用制限
計算はブラウザ内で行われます。回数制限もアカウント登録もなく、入力した数値は保存されません。
1回の計算で扱えるのは、1商品・1期間・1通貨です。通貨の選択を変えても記号が変わるだけで、通貨換算は行われません。
マーケターの活用法
広告費を$1使う前に、超えるべきROASを把握する
広告管理画面では、ROAS 2.1が好成績として表示されます。本当にそうかは粗利率次第です。粗利率60%なら2.1で利益が出ますが、40%なら赤字です。損益分岐ROASがあれば、管理画面の数値から採算を判断できます。
注文獲得費用の上限を使えば、CPAも同じように判断できます。CPA $24という数字だけでは何もわかりません。上限$30と比べればまだ伸ばす余地がありますが、上限$20なら停止すべきキャンペーンです。
必要な販売数量は、キャンペーンに求められる獲得ペースも示します。1か月が30日の場合、400個を売るには1日14件の注文が必要です。1日9件しか獲得できていなければ目標に届かず、そのことが最初の1週間でわかります。
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コスト表だけではできない2つのこと
- 配信中のオファーと比較して価格を決める。 自社で扱う商品を検索し、その商品に言及している広告のオファーを確認します。セット販売、送料無料になる購入金額、クリエイティブに記載された価格などです。何週間も続いているオファーは、その広告主が費用をまかなえているオファーです。
- 値引きのタイミングを見極める。 値引きで何個多く売る必要があるか把握したら、同じ市場のセール広告がどれくらい続いていたかを確認します。週末だけで終了した販促と、2か月続いた販促では、読み取れることが違います。
損益分岐点の計算から市場分析へ、3つのステップ
- 対象市場の広告を探す。 競合のブランド名やドメイン、または自社で扱う商品を入力します。
- 長く続いている広告に絞る。 広告の継続日数を30日以上に設定し、早期に停止されたテスト広告を除外します。
- 最も長く続いている広告を分析。 その広告主のページを開き、オファーと価格を自社の損益分岐ROASと照らし合わせます。
始め方
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